さよなら

fuga_chi2007-10-15

今日、自分がお世話になった馬が、亡くなった。
何とも言えない喪失感が、心の中に広がっている。


学生時代のほぼ全てを費やした、馬との生活。
自分は決して馬が好きではない。動物も、人並みに愛でる程度で特別な思い入れをもったりするタイプではない。何故、学生時代馬をやったのか。とりとめもない理由だけど、話せばきっと長くなる。


…時間の経過とともに、色褪せる学生生活の記憶。あまり良い思い出はなく、そのほとんどが馬とともにあった。思い出したくないことも多々ある。むしろ、よみがえらせたい記憶のほうが指折り数える程度。だからこそ、強烈に心に刻まれているものもある。一人夜の馬房で、自分自身の辛い心情を勝手に語りかけたこともあったような気がする。


馬は人と同じでとても個性的。千差万別・十人十色。そんな中で、今日亡くなった彼は、人見知りが激しいというか神経質そのものであった。乗り手の意図を酌むのが上手く、乗り手をその気にさせる馬だった。きっと、頭が良かったんだと思う。食も細いし、どちらかと言えば痩せがち。そんな彼が、突然他界した。


昨日、なぜだか分からないけれど、突然、馬に会いに行こうと思い立った。本当に突然、間違いなく、会いに行こうとした。割と馬房に近いところまで、車で出かけていたのもあったからだ。けれど、また来ればいい、買い物したお刺身が傷んじゃうかも知れないから、今日は帰ろう、と思ったのだ。その次の日の訃報。なんだかとても表現の仕様のない気持ちになってくる。
会いに行けば良かったとも思う。後悔しているわけではないけれど、やっぱり会いたかった。


とにかく、今は彼に伝えたい。
「お疲れ様、今までありがとう。」「自分もいっときお世話になったけど、辛いあの頃をひとまずココロの隅っこに置いといて、今は自分なりのペースで生きているよ。」「君から沢山のものをもらったコたちが、今、それぞれ自分の道を歩いているよ。本当に、ありがとうね。」